パリ同時多発テロから3日、同じヨーロッパにいて感じたこと。
先日2015年11月13日現地時間午後9時半。
パリで起きた9.11の再来と言われるほどの同時多発テロ。私はこの事実をパリに留学中の友人からもらった連絡で知りました。
その友人のブログはこちら☟
今回の記事では、ちょっとイレギュラーですが英国寮生活の私が今回の事件についてどのように情報を得て何を感じたのか、書き残しておきたいと思います。
”パリでテロ。爆発したらしい。”
友人からのメッセージに対する私の最初の感覚は、「え、そうなんだ、、、。」というなんとも普通な反応。
大都市パリは危険との隣り合わせだし、パリは以前にもシャルリエブドの一件もあって、なんとなくまたか、という感覚でした。
パリ在住の友人たちの安否を確認したのち、次に少し現状を把握しようと思って取り出したのはスマホ。
テレビも新聞もない寮生活の私がリアルタイムで情報を集められる手段といえばネットだけなのです。Mediaの授業でSNSについて取り扱いっていることもあり、何気なく興味本位で開いたTwtitterの先に広がっていたものは、リアルな世界でした。
私が状況把握のためにツイッターを開いたのは現地時間の午後10時半ごろ。(イギリス時間午後9時半)
私はハッシュタグ #paris で検索をかけて情報収集をしていました。
WEB媒体を使った各メディアの情報発信比較(日・欧)
🇯🇵 JAPAN
すでに日本語でも数件の爆発事故と約10人がすでに死亡しているとの記事は出ていましたが、”同時多発テロ”という言葉などは使われていません。
これはメディア側の情報不足(もしくは混乱を招かないため?)なのか、あまり大事件であるというイメージを抱かせることのないような報道の仕方のように受け取れました。
現地時間 22:38 NHKニュースより
【速報 JUST IN 】パリで連続発砲事件 3人死亡 7人けが https://t.co/UK07QM6eAS #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) 2015, 11月 13
🇫🇷 🇬🇧 France, UK
同時刻の現地メディアはというと、すでに死者127人を報道。
動画付きで現地の様子を生々しく報道していました。
現地時間 22:48 ABC7より
その頃、爆発の起こった仏独のサッカー親善試合は試合が終了。
安全確認が取れるまでは観客も試合会場待機とのことで、ピッチに人がなだれ込んでいる様子。また、ドイツの選手たちはそのまま会場で一夜を明かしたのだとか。
現地時間23:29 ハフィントンポストUK
SNS上に投稿されていた爆発時の会場のビデオが転載されていました。
Moment caught on camera as explosion heard outside stadium in #Paris https://t.co/AdVejh0QjZ https://t.co/UryPhWucyi
— HuffPostUK Pictures (@HuffPostUKPics) 2015, 11月 13
SNSを通じたライブニュース配信
BBCやCNNなど大手ニュース各社は、WEB上でライブニュースが見れるコンテンツを多く提供しており、私はそのおかげで信頼の置ける情報を数多く受け取ることができました。
(ツイッター上で視聴したLive 映像)
日本に対して、現地メディアはこのニュースをかなり緊迫した様子で伝えており、個人が撮影した動画(youtube,Twitter等)をニュース内でも多く引用。その映像はどんなプロが撮影する動画よりもリアルでした。
先日のPeace studiesの授業内で、このようなことを教授が言っていました。
個人発信のメディアSNSの出現によって、私たちは簡単にショッキングな映像に出会ってしまう。それは時に人に強烈なインパクトを与え、偏見や憎悪を生むことにもつながる。
まさにそれを実体験として味わったのだと思います。
銃声と人々の叫び声。救急車のサイレンと警官服の蛍光ライト。
ツイッターに流れてくる動画を見れば、その人が銃声を聞きながら死に物狂いで逃げていることを疑似体験してしまいます。そしてそれはどんな言葉よりも簡単に、私の頭の中にテロ(極論で言えばISISそしてイスラム過激派)に対する恐怖心を植え付けました。
欧州メディアがリアルタイムにSNS応用した報道を行っていた一方で、やはり日本メディアは大手通信社から受け取る情報をその後翻訳する形が多い関係か、情報資源も限られ欧米メディアに比べると一歩遅れている印象でした。
しかし、日本メディアも一夜明けた14日には、とてもわかりやすくまとまった情報発信を行っています。
新聞社やテレビ局の電子化は今後も世界の大きな一つの流れになりそうですね。
※今回の事件に対する日本のテレビ業界の動きについて、かなり批判的な意見を目にします。こちらに関しては英国にいる私には分かりかねる部分が多いのですが、数多くの反応と記事を見つけたので参考までに載せておきます。
「おかしいぞ日本のテレビ!」フランス同時多発テロを報道しない在京メディアに各界有識者がいっせい非難 - NAVER まとめ
【何故地上波テレビは海外ニュースを瞬時に伝えないのか?】~ネット時代のテレビの役割~ | 安倍宏行
ハッシュタグが大活躍!?ソーシャルメディアの役割とは
爆発が相次ぎ事件が進行していく中で、今回の事件ではリアルタイム性の強いTwitterが大きな役割を果たしたのではないでしょうか。
事件発生後、Twitterには #porteouverte(仏語:門戸開放)というハッシュタグが瞬く間に出現したのです。観光客としてパリを訪れており、行くあてがなく駅で立ち往生しているという助けを求めるツイート、自宅のシェルターを解放しているから近くにいる人は連絡して、という助けの手を差し伸べるツイート。
現場の切迫した状況がこの画面越しでも生々しく伝わってきます。
Twitterの特徴は速効性と拡散性、そして個人ベースでの発信受信が容易であること。
これに尽きると思います。
個人同士のやりとりがリアルタイムでできるからこそ、このハッシュタグ #porteouverte(仏語:門戸開放)が機能したと言えるのではないでしょうか。
また、こちらの記事でも紹介されている同じくSNSの特徴を生かしたFBの安否確認ツールはパリに留学している友人を持つコミュニティ内でとても話題になりました。
良いことばかりではない、SNS情報に惑わされるリスク
しかしそれらのSNSの特性は、時に人を簡単に間違った情報へ誘導し、扇動する可能性も持っています。
ツイッターにパリへ祈りを捧げる#PrayForParisが溢れる中、ハッシュタグランキングになぜか#PrayforJapanもランクインしていたことをご存知ですか?
We see humans but no humanity, RIP 😫👼🏼#PrayForJapan #PrayForParis #PrayForMexico #PrayForLebanon #friday13th pic.twitter.com/cgd5LtnfMJ
— Em Crate (@Em_Cratex) 2015, 11月 13
これはパリのテロとほぼ同時刻に鹿児島県で大きな地震が起きたため、その情報が過去の大震災のものと誤解され間違った情報が拡散されてしまったのです。
確かに、ツイッターをはじめとするSNSはワード検索をかけることでリアルタイムに必要な情報だけを世界中からピックアップすることが可能です。 しかし同時に、やはりこのような信用性のない情報や間違った情報、不謹慎なものまで、様々な情報がネット上には溢れてることを忘れてはならないと思います。
今回わたしは幸いにもそのような情報に惑わされることもなく、SNSの速効性に助けられたのですが個人ベースで”情報リテラシーをきちんと高めていくこと” それがネットとは切っても切り離せない現代社会に生きる私たちに必要なことなのではないかと同時に強く感じた一夜になりました。
私たちにできることは何か、一人一人が今こそ考える時。
離れていても、静まらない心のざわめき。
寒いパリで不安な夜を過ごしたすべての人にに祈りを捧げます。
2015/11/13